Project Story 02 /RBCⅡ

技術で市場を切り拓く。
世の中にないケーサーへの挑戦

段ボールの組み立て、製品を箱に詰め、封函するという一連の流れ。
技術的にも業界実績もない、会社を挙げた新包装システムへの挑戦だった。

取締役会長

技術部 次長

Chapter 1

社内・社外に新しい流れをつくる

会長:RBCⅡ(セカンド)は、段ボールの製函から、ケーサーと呼ばれる製品の箱詰め、段ボールの封函まで、3つのプロセスを一つの機械でできる画期的な梱包システムです。
開発のきっかけは、コロナで社会や経済が混乱していた時期です。当社の主力顧客からの仕事が減少して、新規事業の柱をつくる必要がありました。当時、私は社長でしたからこれは何とかせねばと、自らプロジェクトを立ち上げたんです。

技術部次長:それまで当社は、梱包に関しては技術的にも実績がありませんでしたから、会社としても私個人としてもまったく初めての挑戦でした。会長のエンジニアとしての経験値と発想を、設計の全面に生かして形にすることにしたんです。

会長:新規事業の柱として着目したのが、多くの人手で作業している段ボールの梱包市場でした。この部分を省人化するために、「製函→ケーサー→封函」の工程を、私たちの工場でクロージングできる機械をつくることにしたんです。どうせ自社で作るなら市場にない、新しいものを作ろうと。
ポイントは3つあります。1つは、顧客先の工場レイアウトは多様ですから、製品が流れてくる方向も一定ではありません。そこで製品をどの方向からも受けられるよう3方向から選べるようにしました。2つ目は、同じ工場内でも流す製品は変わりますから、製品を受けるバケット交換が簡単にできること。3つ目は、従来は一定方向に限られていた箱詰めの形態を、「二の字」や「田の字」のように自由度を持たせることでした。

技術部次長:会社にとって初の自社開発の自社製品、私自身もやってみたい仕事でした。しかもトップが先頭を切ってやる気になっていることで、社員の士気もおのずと上がりました。特に会長はいつも社員と一緒になって現場に立つ人なので、文字通り社内一丸となって「がんばろう!」という空気になりました。

会長:私は「苦労はみんなで一緒にしたい」という思いが強いですからね(笑)

Chapter 2

現場から生まれる「知恵」を引き継いで

技術部次長:はじめに会長から、ご自身の構想をまとめた手描きのアイデアスケッチを渡されました。そのスケッチを具現化すること、実際の寸法を図面に落とし込むのが私の仕事です。
会長と仕事をするようになって7年になりますが、この仕事がもっとも難易度が高かったです。機能が多いこともあり、すべてをコンパクトに収めることに一番苦労しました。製函もケーサーも封函も、一般的には独立した機械ですから、それを1台にまとめるのに機構を付け足すだけでは大きくなるばかりですから。3次元CADを活用して無駄なスペースを徹底的に省くようにしました。

会長:いや、次長から上がってきた図面を見て、イメージ通りだったのでびっくりしました。「ここまでやってくれたのか」と嬉しかったですね。正直なところ、技術的に「いまの当社にできるだろうか」と不安もありました。やり切れなかったら私がやればいいと、覚悟していました。

技術部次長:私自身が梱包関係の設計が未経験な上に、機械能力も業界最速の処理量(120袋/分)を目指すという大命題がありましたので、とにかく勉強しまくりました(笑)。駆動機器の選定一つにも他のメーカーのカタログをいろいろ取り寄せたり、動画サイトをたくさん見て研究したりしました。

会長:機能面ではケーサー内で製品反転は特に難しかったよね。あの省スペースで、製品の向きを0.5秒で変えて姿勢を保持しなければならないわけだから。

技術部次長:そうですね。私も多くの情報を集めましたが、それでも会長から技術的な「知恵」をたくさん頂いたことが大きいです。おそらく会長は、私がわかっていると思って伝えられたことも、実際には理解していないことも多々ありました。
わからないことや悩んだりしたときは、エンジニアの先輩であり、製品の扱いについても多く経験されている会長と話せば答えが見つかることがとても助かりました。

会長:次長は決して仕事が早いわけではありません。じっくり取り組んで確実なアウトプットを出すタイプ。時間がかかっても一つひとつ問題を解決して進めていくことが大切だと思います。

技術部次長:私も歳を重ねるなかで、たくさん失敗してきていますから(笑)、深く考えないと同じ失敗を繰り返してしまうなと、身に染みて感じています。

会長:最終的な筐体デザインは次長が決めたんですよ。せっかく新しいものを作るのなら、欧州スタイルのかっこいい筐体にしたいよね、と彼にアイデアを投げたんですが、見事に具現化してくれました。

技術部次長:私はもともとバイクが好きで、やっぱり美しいメカって「ネジを見せない」などのこだわりがありますよね。自分たちの初めての製品ですから、そこは気合を入れて取り組みました(笑)

Chapter 3

困難のなかに、機会はある

会長:最後まで苦労した製品反転の機構は、段ボールケーサーとして3件の技術特許を取得した内の1件でした。令和4年には千葉県の「ものづくり認定製品」にも選定されました。これは県内の開発や製造をする企業を対象に、「オンリーワン」の優れた製品に対する認定制度です。製品の評価としてはもちろん、自分たちの努力の成果としても嬉しかったですね。

技術部次長:展示会に出品、「ものづくり認定製品」に選ばれたことで、簡易版ではありますが、6台の受注につながったんです。作ったことで自己満足するのではなく、実際にお客様から「使ってみたい」と言われ、売り上げという形になって評価されたことは誇りに思います。

会長:売り上げは目標ではありましたが、私はこの機械を作ることで「TOSETSUはこんなこともできるのか」と、私たちの技術力や創意を世に知らしめたかったんです。実際に、この機械をきっかけにして、今までにはなかった技術の相談や依頼が入るようになりました。

技術部次長:RBCⅡによって会社は梱包業界に進出を果たすことができましたし、私自身もエンジニアとして新たな挑戦の機会が得られました。機械設計の醍醐味は、自分が描いた図面が具現化されること。今後は若手にこの魅力を伝えつつ、失敗を恐れずにチャレンジする気持ちを育てていきたいですね。

会長:アインシュタインは「困難の中に機会がある」という言葉を残しています。私は若い頃から誰もやらないことをやって、とにかく「世の中にないものを創り出したい」という思いが強かったので“異端児”と呼ばれていました(笑)。新しいものへの挑戦は、風当たりも強く、簡単なことではありません。今回も次長をはじめ、係わった皆さんの苦労はたくさんありましたが、会社にとって、社員にとって、自信につながるプロジェクトだったと感じています。

千葉ものづくり認定製品 認定証交付式にてチーバくん、会長、熊谷知事